研究概要 |
β,β'-ジボリルポルフィリンと1,4-ジブロモピリジンとの鈴木-宮浦カップリングによって、大環状ポルフィリン多量体をサイズ選択的に最大8量体まで効率よく合成することに成功した。特に、2、3、4量体については単結晶X線解析によりその構造を明らかにすることができた。これらの一連の大環状ポルフィリン多量体について、励起一重項状態の寿命を決定した。一方、β,β'-ビピリジルポルフィリンと1,5-ジブロモピリジンとの鈴木-宮浦カップリングによって二重ピリジン架橋ポルフィリン二量体が収率20%で得られることを見出した。この化合物はピリジン部分で折れ曲がった構造をとっている。これに、塩化パラジウムを作用させると、二つの炭素-水素結合の切断を伴って、中央部にパラジウムが導入された錯体が収率よく得られた。パラジウムの導入前では2つのポルフィリン間の電子的な相互作用は弱いが、パラジウムの導入により吸収スペクトルが大きく長波長シフトし、共役が拡張されることが明らかとなった。このパラジウム錯体はC_<60>を効果的に包摂することもわかった。さらに、二重ピリジン架橋ポルフィリン三量体の合成にも成功し、X線構造解析によりベルト状の構造をとっていることを明らかにした。
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