界面におけるポリメタクリル酸メチル(PMMA)の分子鎖熱運動性を検討した。空気界面ではセグメント運動に対応するαa過程だけでなく、主鎖の局所運動と側鎖の束縛回転がカップルした運動のβ過程も、バルクの緩和温度より低温側で観測された。また、空気界面におけるPMMAの緩和挙動は立体規則性に著しく依存した。液体界面におけるPMMAの力学物性についても検討した。その結果、界面近傍の弾性率は液体分子の収着の程度に応じて変化した。以上の結果は、異種相界面における高分子の凝集状態は、その分子鎖熱運動性、ひいては、力学物性に大きく影響を与えることを示している。換言すれば、界面での高分子の凝集状態を制御できれば、分子運動特性も制御できるといえる。
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