もっともクリーンなエネルギーである太陽エネルギーの有効利用をめざしたナノ炭素材料の開発を目的として研究を行った。フラーレンナノファイバーは、直径が小さくなると導電性が向上するという非常に興味深い特性を有していることがすでに明らかになっている。そこで、100nm以下の平均直径を有するフラーレンナノファイバーの合成を目的として研究を行った。合成条件を検討した結果、界面の面積を制御するという非常に簡便な方法で、ナノファイバーの直径制御が可能であることを見出した。合成したフラーレンナノファイバーの構造について、SEMや高分解TEMを用いた観察により、その結晶構造などを明らかにした。 また、合成したフラーレンナノファイバーの物性評価として吸収スペクトルや太陽電池の作製を行った。さらに、ドナー分子であるフェロセンとの複合化を検討した。その結果、フラーレンとフェロセンのハイブリッドナノシートや、フェロセンがナノファイバー表面に物理吸着したドナーアクセプターのナノ材料の創製に成功した。特に、フラーレンとフェロセンからなるナノシートにおいては、両者の間に電子的な強い相互作用が存在することを固体状態の反射スペクトルの測定から明らかにすることができた。さらに、理論計算を行うことで、フラーレンとフェロセンのより詳細な相互作用についても検討した。
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