研究概要 |
電極表面と電解液界面で形成される電気二重層を電荷蓄積に利用する電気二重層キャパシタは,高い出力密度や半永久的な寿命といった特長を有するエネルギー蓄積素子である。大容量化のためには界面の増加(高比表面積化,多孔性制御)が重要である。本研究では新たなナノカーボンとして注目されているグラフェン電極を用いた電気二重層キャパシタの創製を実現するための製造技術を検討する。平成21年度は面方向のサイズが異なる数種のグラフェンを合成するために,異なるサイズからなるグラファイト(出発物質)からグラフェンサイズを制御するとともに,超音波処理によるグラフェンの微細化を実施した。この際,酸化グラファイトナノシートの合成条件や還元方法(気相還元,化学還元)や条件を種々検討し,電極特性との関係性を検討した。面方向サイズがマイクロメートルスケールから最小で数十ナノメートルのグラフェン凝集体を創り分けることに成功した。最もサイズが小さいグラフェンCNFP(プレート型カーボンナノファイバー)の場合,硫酸中で132F/gの単極容量を得た。この値はもとのCNFPの20倍近くである。はく離-再積層プロセスにより導入された細孔または還元過程により導入された官能基により大容量化が達成されたと考えられる。グラファイトから合成したグラフェン凝集体の比表面積は250~380m2/g2程度,比静電容量は80~50F/gであった。一般的なカーボンブラックと比較して面積容量は数倍であり,多孔質構造が有効に利用されたあるいは表面官能基により擬似容量が付与されたと考えられる。
|