研究課題
高度情報化ネットワークにおける情報セキュリティの信頼性はランダムな信号列を生成する乱数生成器に強く依存している。従来の擬似乱数生成器は計算機内のアルゴリズムにより生成されるため乱数の予測が可能であるという致命的欠点を有しており、一方で既存の物理乱数生成方式では予測は困難なものの生成速度が遅い(数十~数百Mb/s)という問題点がある。そこで本研究では、半導体レーザにおける量子ノイズのカオス増幅効果を用いることで、Gb/sを超える生成速度を有する新たな超高速物理乱数生成方式の開発を目的とする。戻り光を有する2つの半導体レーザにおいてカオスを発生させ、高速AD変換器で周期サンプリングすることで物理乱数生成を行った。本研究では、1.7Gb/sの生成速度での物理乱数乱数の実時間生成実験に成功した。生成した乱数列に対して統計乱数検定を適用したところ、国際標準検定に合格する十分なランダム性を有する乱数の生成が達成された。さらにAD変換器のしきい値電圧やレーザの外部共振器長の変化させることで、ランダム性の高い乱数生成条件について調査を行った。また半導体レーザカオスの帯域拡大実験を行い、10GHzを超える周波数帯域を有するカオスの生成に成功した。本成果は10Gb/s以上の生成速度での物理乱数生成方式における乱数源として利用可能である。さらに本研究で培われた高速物理乱数生成器を量子暗号通信に応用し、量子鍵配送方式の実証実験に成功した。
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