研究課題
高度情報化ネットワークにおける情報セキュリティの信頼性はランダムな信号列を生成する乱数生成器に強く依存している。従来の擬似乱数生成器は計算機内のアルゴリズムにより生成されるため乱数の予測が可能であるという致命的欠点を有しており、一方で既存の物理乱数生成方式では予測は困難なものの生成速度が遅い(数十~数百Mb/s)という問題点がある。そこで本研究では、半導体レーザにおける量子ノイズのカオス増幅効果を用いることで、Gb/sを超える生成速度を有する新たな超高速物理乱数生成方式の開発を目的とする。昨年度までに1.7Gb/sでの乱数生成速度が達成されており、本年度は半導体レーザカオスを用いた物理乱数生成器のさらなる高速化を行った。レーザカオスの周波数帯域拡大方式および、1つのサンプリング点から複数の2値乱数を生成するマルチビット生成方式の実装を新たに提案し、実験実証を行った。その結果最高で75Gb/s(12.5GS/s×6ビット)の生成速度での物理乱数生成実験に成功した。マルチビット生成方式の選択ビット数を変化させたところ、最大で下位6ビットを選択することでランダム性の高い乱数生成が実現できた。また理論的進展として、半導体レーザカオスを用いた物理乱数生成の数値解析を行い、カオスのノイズ増幅効果によるエントロピー生成時間を定量的に評価した。その結果ノイズ強度の増加に伴いエントロピー生成時間が減少することが明らかとなった。
すべて 2011 2010 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (24件) 備考 (1件)
Optics Express
巻: Vol.19, No.7 ページ: 5713-5724
Physical Review A
巻: Vol.83 ページ: 031803(R)(1-4)
http://www.au.ics.saitama-u.ac.jp/