研究課題
高度情報化ネットワークにおける情報セキュリティの信頼性はランダムな信号列を生成する乱数生成器に強く依存している。従来の擬似乱数生成器は計算機内のアルゴリズムにより生成されるため乱数の予測が可能であるという致命的欠点を有しており、一方で既存の物理乱数生成方式では予測は困難なものの生成速度が遅い(数十~数百Mb/s)という問題点がある。そこで本研究では、半導体レーザにおける量子ノイズのカオス増幅効果を用いることで、Gb/sを超える生成速度を有する新たな超高速物理乱数生成方式の開発を目的とする。昨年度までに75Gb/sでの乱数生成速度が達成されており、本年度は半導体レーザカオスを用いた物理乱数生成器のさらなる高速化を行った。2つの半導体レーザを一方向に結合して波長差を調整することにより、カオス波形の周波数帯域拡大を達成した。周波数帯域されたカオス信号を用いて、マルチビット乱数生成およびビット順反転処理により乱数生成を行ったところ、最高で400Gb/s(50GS/s×8ビット)の生成速度での物理乱数生成実験に成功した。本方式ではビット順反転処理を適用することにより、従来用いられていた下位ビット切り出しを行う必要が無く、8ビットを全て乱数生成に使用できる点が優れている。また理論的進展として、半導体レーザカオスを用いた物理乱数生成の非再現性の評価を行った。ノイズ強度と初期状態記憶時間の関係からエントロピー生成率の算出を行い、半導体レーザカオスを用いることで1Gb/s以上のエントロピー生成率が得られていることが明らかとなった。
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