本研究の目的は、光の放射圧によってカーボンナノチューブのカイラリティ選別する技術を確立することである。レーザー光をナノチューブ溶液に集光入射し、光の勾配力によってナノチューブを光スポット内に捕集する。チューナブルレーザーを光源とし、波長を選択しながらカーボンナノチューブの捕集を行う。Van Hobe特異性に起因するカイラリティ依存の誘電率によって光放射圧の強さと向きを選択的に制御することによってカイラリティで厳密に分離する。 チューナブルノッチフィルター、チューナブルレーザーラインフィルターと、波長可変のCWチタンサファイアレーザーを導入により、チューナブルラマン分光/フォトルミネッセンス分光の光学系を備えた波長可変レーザートラッピングシステムを構築した。チューナブルフィルターの特性が不十分で、有効なSN比で信号を取得することが困難な状況であるが、カーボンナノチューブからのGバンドとラジアルブリージングモードのラマンピークをレーザーの可変波長域である700-900nmの任意の波長で取得することに成功した。カーボンナノチューブの効果的な捕集を実現するため、金属ナノ粒子での局所プラズモンを応用する検討を行った。レーザーの波長にプラズモン共鳴を示す金ナノロッドを用い、局所プラズモンによって光電場のナノスケールでの局所化を図り、より強い光勾配力を得てトラップ力の増強を得た。また、この手法を金属ナノ粒子のプラズモン共鳴に応用し、レーザー光で金ナノロッドを凝集し固定する技術を開発した。
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