研究概要 |
本年度は,処理速度のさらなる高速化を狙うため,プラズマ励起周波数に60MHzのVHF帯を採用し,その加工特性に検討を加えた.周波数をRF(13.56MHz)からVHFに上昇させることで,プロセス雰囲気中の酸素濃度やプロセス全圧等について,安定にグロー放電を生成しうる条件の自由度が向上する効果があることを明らかにした.VHFプラズマではRFプラズマに比べ空間的に局在化する傾向があり,エッチング後のSi表面プロファイルから得られる最大エッチングレートは,VHFでは,RFの約3倍の値が得られた.このことは,VHFの採用により,より小さな体積空間に大きな電力を投入可能となったことを示唆しており,プラズマの発光輝度はRF励起に比べ5倍以上に達することを確認した.一方,放電ギャップを一様に保てば,VHF励起プラズマの生成面積を拡大することに支障は無く,これまでに40cmまでプラズマ幅の拡大に成功している.ここで表面粗さの観点では,VHF処理したシリコン基板の方が,RF処理した場合に比べて小さいことが明らかとなった.このVHF励起プラズマにおいて,PTFE固体原料から生成されるエッチャントガスは,RF励起プラズマと同様にCOF_2であること,さらに本プロセス中では,SiF_4を生成することでSiのエッチングが進行していることをFTIR吸収分光法により明らかにした. さらに太陽電池用基板の大半が多結晶Si基板であることから,基本的な面方位である(110),(111),および(100)単結晶Si基板を用いて,本手法のエッチングレートと表面粗さの面方位依存性を調査した.提案する本プロセスでは,得られるエッチングレートおよび面粗さに面方位依存性は無い事が明らかとなり,ごの結果を踏まえて,太陽電池用多結昴Si基板の処理に本手法を適用し,面内一様な処理特性が得られる事を明らかにした.
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