研究概要 |
液体の濃度指標や,光学材料の特性評価などにおいて,屈折率の正確な計測は極めて重要であり,多波長での測定のニーズも増えている.本研究では,近年光周波数のものさしとして注目されている光周波数コムを用い,広帯域における屈折率を高精度に測定する手法を開発することを目指している.具体的には,光周波数の広がりが数百THzにわたる超広帯域の光源を用意し,この光を,測定対象である媒質中で多重反射させ,透過スペクトルを解析することにより,広帯域にわたる屈折率を一度に求める. 本年度は,研究期間の初年度であり,測定システムの主要な構成要素である,広帯域光源および分光計測のためのモノクロメータの導入を実施した.広帯域光源としては,EOMと共振器により狭線幅レーザのサイドバンドを無数に増やす方法と,超短パルスレーザのスペクトルを非線形光学結晶により拡げる方法があるが,本研究では,よりスペクトル範囲が大きい後者を採用した.さらに,パルスレーザ光源としてはTiSに代表される固体パルスレーザと,モードロックファイバーレーザが考えられるが,システムの安定性とコストパフォーマンスから後者を選択した.導入した光周波数コム発生システムは,ファイバーモードロックレーザの光をErドープ・光ファイバーアンプにより増幅したのち非線形光学結晶によりスペクトルを拡げるもので,波長範囲450~2100nm,出力2Wと,本研究で用いる光源としては最適な能力を持つ.また分光光学系に関しては,入手可能な機種の中で波長分解能が最も高い0.008nmを実現する,大型モノクロメータを導入した.さらに,予備的な実験を行うための検証用のファブリペロー・エタロンを製作した.今後,受光系などを製作し,測定精度の評価などを実施していく.
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