研究概要 |
液体の濃度指標や,光学材料の特性評価などにおいて,屈折率の正確な計測は極めて重要であり,多波長での測定のニーズも増えている.本研究では,近年光周波数のものさしとして注目されている光周波数コムを用い,広帯域における屈折率を高精度に測定する手法を開発することを目指している.具体的には,光周波数の広がりが数百THzにわたる超広帯域の光源を用意し,この光を,測定対象である媒質中で多重反射させ,透過スペクトルを解析することにより,広帯域にわたる屈折率を一度に求める. 研究期間3年の2年目である本年度は,ファブリペローエタロンの透過スペクトルを観測するための分光系の導入を行った.当初の計画では,モノクロメータによって切り出した二つのスペクトルの光周波数のビートをスペクトルアナライザを用いて電気的に計測する計画であったが,切り出したスペクトルの強度,ビート周波数と高速フォトディテクタの組み合わせでは,スペクトルアナライザでビートを検出することが難しいことが明らかとなった.これを受けて,精度は幾分劣るものの,確実にスペクトルを観測できる光スペクトルアナライザを使用する方針に変更した.これまでに,633nmのダイクロイックフィルターで切り出した光周波数コムをファブリペローエタロンに透過させたスペクトルを,新たに光スペクトルアナライザ(High-Finess製LSA)で観測することに成功している.また,ファブリペローエタロンに関しても,透過効率,フィネスに優れたものを新たに製作した.今後は台黒いくフィルターをモノクロメータに置き換え,可視域全域のスペクトル測定を実施する予定である.
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