研究概要 |
研究期間3年の最終年度である本年度は,ファブリペローエタロンの透過スペクトルを観測するための分光系の改良を行うとともに,新たに製作したファブリペロー・エタロンの透過スペクトルを観察し,屈折率の測定不確かさを求めた.具体的には,前年度に導入したモノクロメータが大型でかつ,検出系の光スペアナの検出限界が事前の予測よりも大幅に小さく,オーバースペックであったため,グレーティングとスリットを組み合わせたモノクロメータ系を新たに構築し用いた.これにより切り出した光周波数範囲約300GHz(FWHM)の光を,偏光ビームスプリッタで二分し,一方をファブリペローエタロン(FSR=45.1GHz)に透過させる.2つの光は偏光ビームスプリッタにより再びひとつの光軸にまとめられ,集光レンズにより光スペクトルアナライザ(High-Finess製LSA)のシングルモードファイバに入射される.実際にはp/s偏光のいずれかを遮蔽し,ファブリペローエタロンの有無によるスペクトルの比を光スペクトルアナライザで計測する.測定の結果,ファブリペローエタロンのそれぞれの透過ピーク周波数の分解能は約0.8GHzであり,単一のFSR周波数から求める屈折率の測定不確かさはたかだか5x10-3であった.しかしながら屈折率が測定波長範囲内においてゆるやかな波長依存性を有していると仮定し,適切なフィッティングを行う場合,測定光周波数範囲(約400THz)にある約9,200のFSRのデータから,統計処理により5x10^<-3>/(9,200)^<1/2>=5.2x10^<-5>まで測定不確かさを向上させることが可能である.さらに隣り合うFSRの相関係数がr≒-1であることから,屈折率の測定精度は最高で1x10^<-6>よりも小さくなることが明らかとなった.
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