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本研究課題では、これまで申請者が開発してきた時間分解顕微SHGイメージングという光学的手法を軸に、新たにラマン分光法によるキャリアの直接イメージングを併用することで、素子中の電界・電荷・移動度分布を画像化することを目的としている。
本年度は昨年度に有効性が確認された電荷変調分光法(CMS)のイメージング測定系を立ち上げ、CMSイメージングによる、キャリア密度分布の可視化を試みた。キャリア注入による信号変化は微小であるため、ゲート電圧が印加されている状態と、されていない状態でそれぞれ反射像を取り込み、その差分を複数回積算するという操作により、変調イメージングを得た。デバイス動作状態における、チャネル間の変調強度分布は、理論的に計算されるデバイスのキャリア分布と良く一致していることが確認できたため、この手法によりチャネル中のキャリア密度分布を2次元イメージとして評価できることが明らかとなった。
CMSイメージングによって得られる電荷密度分布と、SHGによって得られる電界分布を用いることで、電流連続の条件からチャネル間における移動度分布を測定することが可能となった。これまで、移動度のミクロ情報は得ることができなかったため、デバイス中の電荷輸送メカニズムを議論する上で、有用な情報が得られるようになったと言える。また、電子およびホールにより変調スペクトルが異なるという実験結果が得られており、今後本研究を進めることで、キャリアによる電荷密度分布評価が可能となると考えている。
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