本研究では、光の3原色である青・赤・緑色の発光ダイオード(LED)を用いた、タンデム構造を適用することによって、エネルギー変換効率および演色性の両方が高い、究極的な照明用LEDの実現を目指し研究を行っている。平成21年度は、主に効率の低い緑領域のLEDの改善手法の確立、タンデム構造を作製するために、透明導電性接着剤の検討などを中心に研究を推進した。さらに、当初の予定にはなかったがLEDに太陽電池機能を持たせた革新的なデバイスに関しても特性を検討した。具体的な内容を以下に示す。 (1)貼り合わせ技術の開拓…ITOペースト、導電性のポリマー/エポキシ/コーティング剤などを検討したが、導電性や接着力が不十分であることが分かったため、計画書には書かれていない透明導電膜融着技術の開発に着手し、接着・導電性・透明性の確保が可能なことが分かった。しかしながら、基板の反り等によって接着力に問題があることが分かったため、平成22年度にはその改善を行う予定である。 (2)緑色LEDの高効率化…3原色LEDの高性能化において、現状効率の低い緑色LEDの高性能化は必須である。本研究課題では、高品質厚膜GaInNの有用性を実証し、その可能性に関して明らかにした。さらに、p型GaInNの検討も進め、非常に高い正孔濃度のp型GaInNを実現した。 (3)LED機能を有した太陽電池の試作…III族窒化物半導体は太陽電池材料としても有用であるため、その有用性の実証、さらには太陽電池機能を有したLEDを試作した。 平成21年度は、これらの成果を発展させ、トンネル接合を用いた構造の試作、さらには青色・緑色タンデムLEDの試作存目指す。
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