研究課題
これまでの研究を通じて開発した移動体通信用携帯端末用の周波数・偏波共用アンテナの構造の簡便化、小型化および高効率化に重点をおき研究を行った。これまでは、アンテナの周波数および偏波の共用化により、アンテナの本数を減らすことで、無線通信端末内におけるアンテナ性能の劣化を防ぐ研究を主に行ってきた。しかし、偏波共用アンテナは、円偏波特性の高い軸比を維持したまま小型化することは難しい。そこで、本年度は、円偏波特性はそのままに、アンテナを小型化することに重点を置き研究を遂行した。その結果、周波数および円偏波が共用出来るアンテナの従来比40%以下の小型化を達成した。また、同時に、全ての面でアンテナ特性が向上した。具体的には、直線偏波特性は10dB、円偏波軸比は2dB、リターンロス特性は5dB、利得は2dB向上した。更に、インピーダンス変換回路や、平衡変換回路もアンテナ構造に含める事を可能とした。よって、アンテナの性能面、構造面、実用化の容易性の面において、研究目的を達成する上で既に必要な課題を解決済みと言える。したがって、当初の研究目的を達成するには、実装時の問題の解決するのみになった。また、現在、実用化に向けた検討を急速に進めており、本研究課題において開発したアンテナの実用化が早期に期待出来る。これらの研究成果は、学術誌論文として2編、国際会議論文として4編発表済みである。その他、海外での特許申請を1件行った。その他、国際標準化寄与文書としての提案も行う予定である。
1: 当初の計画以上に進展している
小型でありながら高性能な携帯端末用アンテナを開発することで、無線通信の性能を向上させるという目的を着実に達成し、計画以上の成果へと進展している。特記すべきは小型化率であり、利得やアンテナ効率等の性能も当初目標以上を達成している。その結果、企業との共同研究を通じての実用化が加速しており、研究最終年度には市場に発表できる予定である。
当初の計画以上の成果を得るべく、実用性を高めたアンテナへと高めていく。実用化において解決が不可欠なポイントとしては、実装時の性能の安定性があげあれる。アンテナに近接する筐体や周辺機器、そして人体の影響を十分に考慮した設計が可能なアンテナへと進化させると同時に、これらの影響を受けにくい、安定した性能を保持できる構造の提案が推進方策である。現在既に検討を進めており、画期的な手法の提案が見込まれる。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (10件) 備考 (2件) 産業財産権 (2件) (うち外国 1件)
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