これまでの研究を通じて開発した移動通信携帯端末のための周波数・偏波共用アンテナの構造の小型化と更なる性能の向上、そして試作評価を行った。 昨年度までに提案した、偏波が共用出来るアンテナの基本構造について、動作原理を十分に把握し、更なる構造の単純化とサイズの小型化に成功した。なお、これによるアンテナサイズは従来比25%以下を達成している。また、利得や放射特性、リターンロス特性などのアンテナ性能をほとんど劣化させない小型化に成功している。試作、実験を繰り返し、十分に理論設計通りの性能が出ていることも確認した。 実用化に向けた最終設計においては、近接金属の影響を克服する事ができ、一般的には、ループアンテナに金属をパッチアンテナのグラウンド面の様に近接させると性能が劣化するのであるが、性能をそのままに、ループアンテナの近傍に、グラウンド面の様な金属を配置させることに成功した。 アンテナの基本動作原理について十分に把握できる解析結果を得ることが事ができたことが以上の様な、性能は高性能に維持したままの小型化と近接金属の配置方法の提案につながった。 得られた研究成果は、企業との共同研究契約により実用化に向けた開発を進めている。その成果が認められ、NEジャパン ワイヤレステクノロジー アワード優秀賞を受賞するに至った。また、国際会議論文として3編発表済みであり、1編が採択され発表予定である。その他、国内での特許申請を2件、海外での特許申請を2件行った。その他、国際標準化寄与文書としての提案も行うった。
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