研究課題
近年、様々な分野において確定的なモデルでは表現できない確率的な挙動に対する解析・制御手法の重要性が増している。一方、物理システムの故障をはじめとして、金融工学における株価モデルなどでは、系の急激な変動の影響が大きな意味をもつが、これを理論的に捉える枠組みは十分とは言えない。本研究では、こうした現象を統一的に扱うことができるレヴィ過程(およびそれに駆動される確率過程)を数学モデルとして採用し、その解析・制御手法を確立する。本年度は本研究課題の理論的基礎と位置づけているレヴィ過程の弱近似問題に対する最適化にもとづくアプローチに関して、予定していた理論結果をすべて導き、確率論・数値計算という異分野の論文誌に投稿し受理された。また、今年度はヨーロッパ滞在の利点を生かし、多項式計画問題の代表的ソルバの開発者達や関連分野の研究者を訪問し、得られた結果を幅広く発信するとともに、改良可能な点などに関する意見を仰いだ。なお、この訪問中に得られた結果は現在、論文誌に投稿中である。また、滞在中はシステムバイオロジの研究者との継続的な議論を通して、確率モデルの役割などについて情報収集や提案を行った。この中で、本研究で焦点をあてている離散的な不確定性の重要性とともに、ミクロなノイズがマクロな挙動に及ぼす影響の理論的考察の重要性を再認識した。これを受けて、次年度以降は、こうした大規模システム的な観点も視野に入れ研究を進める予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Stochastic Models
巻: Vol. 27, Issue 1 ページ: 26/49
Applied Numerical Mathematics
巻: Vol. 61, Issue 5 ページ: 641/650