研究概要 |
世界規模で塩害が環境問題として認識されている.本研究で取り扱うのは,自然由来の塩害であり,長期間の気象変動を受け地中深部の溶解塩分が地表面で結晶化するものである.すでに,昨年までの研究で,物質輸送方程式を組み込んだ不飽和土/水連成有限要素解析により,乾湿繰り返しで塩分上昇が起こるメカニズムを明らかにし,地盤材料の組合せによって塩分上昇を抑制することができることを示した.しかし,実際に地盤改良や灌漑をおこなう際には,地盤に力学的なインパクトが加えられるため,外力による地盤内物質拡散挙動が問題となる.また,地中心部では空気圧の変動もあると予想される.そこで,今年度はこれまでの有限要素解析プログラムの解析精度向上を目指し,空間離散化手法を改良し,さらに空気圧変動の影響を考慮するため,気体状態方程式を組み込んで,土/水/空気連成有限要素解析手法を確立した.これによって,「締固め」のように大きな空気圧変動が生じ,品質がその挙動に依存するような現象を表現することができた.また,より局所的な土壌汚染に対して,周辺の水位低下や外力作用がどのような影響を及ぼすかの検討を行った.
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