研究概要 |
人工衛星は,航空機に比べ膨大な地域を一度に撮影できるため,既存の航空機に代わる次世代の地形図作成手法として非常に期待されている.しかし,光学衛星は,「CCDラインセンサを搭載して面的な撮影を行っている」などの理由で既存の航空写真測量の手法は適用できない.そこで,本研究では,1)調査結果を基に衛星を数種類に分類する.2)既存の手法などをベースに衛星画像用の3次元計測手法を構築する.の2つをH21年度の目標とした. 1)衛星画像の分類 各衛星の公開されている情報を調査・収集した.従来の航空写真測量で必要な焦点距離やCCDの画素サイズについては,調査した全ての衛星で公開されていた.また,3次元計測に一番有用とされているRPCパラメータについては,ここ数年で打ち上げられた衛星については全て対応していた. 2)3次元計測手法の構築 まず,航空写真で利用されていた中心投影モデル,DLTモデル,バンドルモデルの3つの手法について検討を行った.これらの手法は,衛星画像がライン画像となっているため,既存の一般的な手法を用いた結果,精度は得られなかった.中心投影モデルについては,著者らが既研究で開発したGAを用いた手法を適用した結果,緯度と経度については一般的な手法より遥かに精度が向上したが実用レベルまでの精度は得られなかった.DLTモデルは,ライン画像に対応するためにモデル式に補正量を追加し,基準点の選定にGAを用いた手法を適用することでまずまずの精度を得ることができた.バンドル法については,基準点の数が膨大に必要となるため,実用的ではなかった.次に,衛星画像から3次元計測をする目的で配布されているパラメータを用いるRPCモデルについて検討した.基準点を必要としない一般的なモデルでは,実用的な精度は得られなかった.しかし,基準点を用いたシフト・ドリフト補正を行った手法では,まずまずの精度を得ることができた.
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