研究概要 |
現在,最新の衛星(地上分解能0.5m以下)を利用すれば,1/2500以下の地形図が作成可能と言われている.さらに,人工衛星は,航空機に比べ膨大な地域を一度に撮影できるため,費用や時間,効率面などに優れており,既存の航空機に代わる次世代の地形図作成手法として非常に期待されている.しかし,現在は,いくつかの問題や課題があるため,国内,国外を見渡しても事例,実験レベルの研究・調査しか行われておらず,実務レベルには達していない.そこで,本研究では,衛星からの3次元計測を目的としている.特に,衛星の一番の弱点と言われている回帰周期や天候の問題を解決する手法の構築を目標とする.その理由は,回帰日数や天候の影響で平均半年に1回程度しか撮影が出来ない場合もあり,利用したい衛星画像が必要な時に撮影できないためである.この問題を解決しない限り,定期的なモニタリングや地形図の更新が困難であり,限られた分野にしか利用できない. 1)同一衛星画像を用いた3次元計測 本研究では,GeoEye-1でステレオ撮影した画像,GeoEye-1の単画像を2枚,Worldview-1の単画像を2枚において,様々な手法を適用した.その結果,地上分解能約0.5mの衛星については,RPCモデル(基準点なし)で緯度・経度が約2.5m・高さ約3mの誤差,RPCモデル(基準点1点)で緯度・経度が約0.5m・高さ約1.5mの誤差,DLTモデルで緯度・経度が約1.5m・高さ約3mの誤差で計測できた.特に,撮影角度などが理想的なステレオ撮影した画像では,地上分解能以下の精度で3次元計測できることが分かり,衛星からの3次元計測の有用性が証明された. 2)異なる衛星画像を用いた3次元計測 本研究では,GeoEye-1の単画像とWorldview-1の単画像で3次元計測を行った.その結果,1)と同様の精度で計測できることが分かった.これにより,従来に比べ撮影の機会が数倍にも増加し,定期的なモニタリングや地形図作成など様々な分野での衛星画像の利用可能性が広がったと言える.
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