研究概要 |
現在,諸外国では,レーダ衛星や光学衛星から植生や湿原の情報を取得して調査・分析を行ない環境管理に利用している.しかし,日本では,諸外国に比べ大規模な湿原や森林が少ないことから,諸外国の事例はあまり適用できない.そのため,本年度は,諸外国の事例にない日本固有な地形,地物(道路,河川,建物)などの判読可能性について検証を行った.今年度の検証内容としては,代表的なレーダ衛星のRADARSAT-2で撮影した画像を様々な組み合わせ(異なる解像度や時期など)で重ね合わせることで,レーダ衛星を用いて何ができて何ができないのかを明確にした。 <河川について>9月に発生した台風15号の影響で9月に撮影した画像では江戸川が氾濫していた.その画像を5月や1月の画像と重ね合わせることで氾濫箇所やその領域などを把握できた.その他,溜池や海などの水に関係する地物については,非常によく違いを把握できることがわかった. <道路について>道路は基本的に平面であるため,重ね合わせた場合黒くなるのである程度の抽出は可能であることがわかった.また,新しいバイパスなどの大きな道路が作成された箇所なども抽出することができた.しかし,交通量が多い道路などは,車がゴミデータとなっているため,上手く抽出できない場合も多かった. <建物について>建物に大きな変化(ビルが建設されたなど)があった場合は,かなりの確実で抽出できることがわかった.しかし,植栽や移動物体などの変化で差分が抽出されるため,地図更新という面においてはゴミデータをどのように取り除くかが非常に重要であることがわかった. <光学衛星との重ね合わせについて>光学衛星とレーダ衛星をオルソ化することで,まずまずの精度で重ね合わせることが可能であることがわかった.このことから,レーダ衛星で差分が出た個所を光学衛星で3次元計測(前年度の成果)することで地図の更新などに利用できることがわかった.
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