研究概要 |
平成21年度に引き続き,オフィス空間を再現した数値流体シミュレーションにより,各空調吹き出し口が周囲のモジュールの熱環境形成へ寄与する度合「室内環境形成寄与率CRI」の計算を行い,室内の空調状態が変化することによるCRIの変化の感度調査を行った。また,オフィス模型を用いた実験による感度調査に着手した。 平成22年度はこれに加え,本研究の根幹となる空調制御ロジックの構築に着手した。 本年度は,数値シミュレーションにより算出したCRIにより,空間内の温度分布の傾向をつかみ,その結果を空調制御ロジックに組み込む方法を提案した。タスク・アンビエント空調においては,タスク用空調と,アンビエント用空調の投入熱量のバランスによりその空間温度分布が変化する。この問題を対象としたケーススタディを行った。タスク域のみ,均一に空調し,且つアンビエント域にも一定の快適性を維持することを可能にする温度分布をCRIにより解析し,最適化された制御信号を制御ロジックに反映させた。このことにより,タスク域とアンビエント域の温度を明確に分離し,快適性と省エネ性を両立可能な制御を行うことの可能性を示した。 本研究の基幹技術となる,先行研究で行っていた空調感度を用いた室内空間温度分布解析手法に関しても,その精度を向上させる技術開発を平行して行った。空調感度(CRI)は,室内の温熱環境による自然対流場と,空調による生成される強制対流場の強さに影響を受ける。この自然対流と強制対流が感度に及ぼす影響を感度解析により行った。また,このCRIを設計の意図通りに維持するために必要となる条件整理をレイノルズ数やグラスホフ数等の無次元数を指標に用いて行った。
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