平成22年度は、本庄東小学校区をケーススタディの対象エリアとして、緑化、交通と並び、対象エリアにおける重点項目として抽出されたエネルギーに関するワークショップを行いその目標レベルを設定した。さらに昨年度からの各ワークショップ成果を重ね合わせ、本庄東小学校区における多主体参加型環境共生都市ビジョンを作成した。その後、ワークショップの成果発信の場として、同フィールドにおける他の調査・研究と連携して、市民に向けた研究報告会を開催し、作成したビジョンを市民に広く発信すると共に、ビジョンに対する意見聴取を行った。同時に環境共生型まちづくりにおける合意形成ツールとして、日本型DCBAメソッドの開発を行った。日本型DCBAメソッドでは、各ワークショップ、行政関係者、有識者へのヒアリングの成果を基に、手法の構成、資料の内容、レベル設定の工夫を行い、一般的な日本人の議論スキルに応じた手法の改良を行っている。 また、これらの手法を活用した合意形成の場において情報提供をバックアップするシナリオ研究では、交通に係るエネルギーに着目し、東京都市圏パーソントリップ調査を基に交通需要推計モデルを構築し、そのモデルを用いて、旧本庄市における日常生活圏単位での現状のトリップエネルギー分布の把握を行った。その後、都市構造と路線バスそれぞれについて再編シナリオを設定し、構築した交通需要推計モデルから、シナリオごとのトリップエネルギー削減効果の検証を行い、都市構造と路線バスの再編を組み合わせた総合的な対策の有効性を示した。
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