現在、環境問題の深刻化から環境負荷低減に向けた取り組みは、建物単体規模での省エネルギー化のみならず、環境基本計画の策定など都市・地方自治体といった広域な規模で進められている。多くの地方都市では、環境問題に加え直面する課題は多岐に渡るが、優先順位の低さや市民の認知度の低さなどから、今一つ実行に向けて具体的な取り組みが進んでいない。計画的に環境対策を実行するには、行政、地域住民、NPO団体など多主体参加のもとで、取り組むべき課題の優先順位を整理し、地域の将来像を共有するためのコミュニケーションが重要になる。本研究では、オランダにおけるDCBAメソッドを、地方都市の低炭素化に向けた既存市街地再整備方針立案手法として活用する。その成果を基に日本に適した環境配慮型まちづくりにおける合意形成手法を開発し、自立循環都市シナリオ作成支援技術の確立を行う。 平成23年度では昨年度までに開発されたDCBAワークショップ手法の問題点の改良を行った。特に地域の現状を把握し、認識を高める為の手法としてキャプション評価法およびKJ法の手法を一部取り入れた。また、対象とするテーマについても、環境的側面だけでなく既存の都市評価指標手法で採用されている項目も合わせて取り入れ、より総合性を高めた手法に改良した。 この改良した手法を用い、昨年度と同様の埼玉県本庄市本庄東小学校区にてDCBAワークショップを開催し、改良したDCBAワークショップ手法の有効性を検証した。
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