平成23年度は、介護やサポートがついた高齢者住宅(サービス付き高齢者向け住宅)の特性を、入居者の属性と生活の様態から具体的に明らかにするためにアンケート調査を実施した。その特徴や課題をより具体的に抽出するために、高齢者住宅先進国であるフィンランドにおいても同様の調査を実施し、比較検討した。 日本では、高齢者住宅10か所、計226名の居住者について、フィンランドでは、高齢者住宅8か所、計147名の居住者について、利用者個々の属性や住宅内外での生活や活動の状況、他者とのコミュニケーションの状況などについて、同様の項目でのアンケートを実施した。アンケートは住宅の管理者による入居者個々への聞き取りとアンケート票への転記による。 調査からは、両国の高齢者住宅および入居者の差異と特性が明らかになり貴重な成果を得た。これまでほとんど明らかになっていなかった高齢者住宅の利用者個々の状況を具体的に示したことは大きな成果である。また、フィンランドの高齢者住宅の居住者への調査の実施により、日本の高齢者住宅の課題や特徴も浮き彫りになった。特に以下の結果は、今後の高齢者住宅のあり方や生活支援の在り方を検討するうえで重要な点である。(1)両国とも持家からの転居が7割前後と多くを占めたが、フィンランドでは持家を売却して入居した人が約8割を占めるが日本では約3割にとどまる。(2)転居前、日本では子世帯同居が約2割を占めたが、フィンランドでは独居が68%(日本は48%)と多くを占める。(3)日本では本人の意思による入居が25%であるのに対し、フィンランドでは66%を占める。(6)日本では住宅内外での定期的なアクティビティー活動への参加が37%にとどまるのに対して、フィンランドでは66%にのぼる。(7)他の居住者との交流を見ると、非常に活発にコミュニケーションがとられているフィンランドに対して、日本では居住者間の交流の頻度が低い。
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