研究課題
位相の揃ったコヒーレントなX線による回折プロファイルを解析して実空間での物質構造を得ることができるコヒーレントX線回折顕微法(CXDM : Coherent X-ray Diffraction Microscopy)が、現在、第3世代放射光源を用いて研究されている。CXDMはマイクロメーターサイズ試料全体のナノスケール電子密度分布を可視化し、電子密度分布に基づいて試料全体のナノ組織を解析できる。また、X線異常散乱現象という元素の吸収端近傍において見られる特異な散乱現象を利用することにより、吸収端に選んだ元素のみを選択的に像再生することも可能である。元素識別CXDMでは、電子密度分布コントラストに加え元素分布コントラストに基づいて、物質のナノ組織を詳細に解析できる。本研究では、金属材料の「4D電子密度、元素分布解析法」として「元素識別CXDM」を確立することが目的である。平成21年度は、入射X線エネルギーを変化させても焦点位置の変化しないX線全反射集光ミラーによってX線を集光する装置を開発した。具体的には、合成石英平面基板にElastic Emission Machining加工技術を駆使してナノメーターレベルの平坦性を有する楕円形状を作製し、二枚の楕円ミラーを組み合わせたKirkpatrick and Baez (KB)光学系を開発した。集光は高精度自動ステージを複数組み合わせた二次元集光ユニットにより行った。本ミラーを使用することにより、X線の空間コヒーレンスを維持しつつ、試料に照射されるX線光子密度を現在の数百倍程度まで高めることができた。また、銀ナノキューブ粒子を使った実験で、CXDMの世界最高分解能である3nm空間分解能を達成した。
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Nuclear Instruments and Methods in Physics Researth Section A : Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment (印刷中)
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http://www.wakate.frc.eng.osaka-u.ac.jp/takahashi/