研究課題
平成22年度までに、X線集光ミラーによって形成される高フラックス密度コヒーレント線を利用した高分解能元素識別CXDMを確立し、金銀ナノボックス粒子の高分解能元素マッピングに応用してきた。平成23年度は、高分解能元素識別CXDMの大視野化に向けて、以下二つの項目について研究を推進した1.走査型CXDM法の開発走査型CXDMでは、試料を光軸垂直方向に二次元的にステップ走査し、各点でのコヒーレントX線回折データを収集する。この手法では、X線を試料上の正確な位置に照射する必要があり、温度ドリフトによるX線照射位置エラーが分解能向上および視野拡大の妨げとなっていた。そこで、SPring-8の実験ハッチ内に恒温化システムを導入し、測定系の温度変化を0.OIK以下とすることで熱膨張・収縮によるドリフトを軽減させた。さらに、試料上に位置基準となる孤立ナノ粒子を配置し、各点での測定前に、孤立粒子からの散乱X強度プロファイルを測定し、X線照射位置を修正した。これにより、走査型CXDMを10um以上の視野・10nmより優れた空間分解能を有する顕微法として確立した。2.X線異常散乱を利用した元素識別走査型CXDMによる金/銀ナノボックス粒子の観察走査型CXDM装置を用いて金/銀ナノボックス粒子の観察を行なった。SiNメンブレンチップ上に金/銀ナノボックス粒子の単粒子膜を形成さ、測定に用いた。400個以上の金/銀ナノボックス粒子の個々の粒子の中空構造を電子密度分布コントラストとして可視化することに成功した。さらに、金のL3吸収端近傍の2つのX線エネルギーで測定を行い、再構成像の差分を計算することで、金元素のマッピングを行い、金/銀ナノボックス粒子表面に金元素が局在していることが明らかとなった。この成果について、プレスリリースを行い、読売新聞で紹介され、大いに社会の関心を集めた。
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (10件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Journal of Synchrotron Radiation
巻: 18 ページ: 293-298
10.1107/S0909049510051733
Diamond Light Source Proceedings(SRMS-7 2011)
巻: 1 ページ: e136
10.1017/S2044820111000013
AIP Conference Proceedings (The 10th International Conference on x-ray microscopy)
巻: 1635 ページ: 231-234
10.1063/1.3625346
Physical Review B
巻: 83 ページ: 214109
10.1103/PhysRevB.83.214109
Applied Physics Letters
巻: 99 ページ: 131905
10.1063/1.3644396
http://www-up.prec.eng.osaka-u.ac.jp/takahashi/