研究概要 |
本研究の最終目標は,さまざまな物質表面にナノ・マイクロ単結晶を三次元成長・配列した複合表面を創成する技術を確立することである。本年度は特に,以下の4課題に注力した(1~3は継続課題)。 (1)ナノ単結晶の規則的配列手法の探索:継続 フラックスコーティング(FC)法により金属表面にナノ・マイクロ単結晶を直接成長することに注力した。特に,チタンとタンタル金属表面に,自形の発達したナノメートルサイズのチタン酸塩とタンタル酸塩結晶をそれぞれ直接形成できた。きわめて単純なFC法により,金属表面を高機能化する技術を見出した。 (2)フラックス概念を導入した噴霧熱分解法による三次元構造体の作製:継続 2種類のサイズのポリスチレン(PS)微粒子を自己組織化したテンプレートを用い,ハニカム構造中にさらなる微細構造をもつフラクタル構造のタングステン酸ナトリウム結晶層を噴霧熱分解法にて作製することに成功した。さらに,多層PS微粒子テンプレートを用い,三次元ハニカムポーラス構造のタングステン酸ナトリウム結晶層も作製できた。いずれも出発原料にフラックス概念を導入することで,きわめて高品質な結晶層を比較的低温で形成できた。 (3)光・プラズマ制限照射によるナノ単結晶の位置選択性成長:継続 ペースト化(あるいは溶液化)した出発原料を印刷法によりパターン塗布し,大気圧プラズマを照射することで,さまざまな基板(ガラス,金属,ポリマーなど)表面に結晶層を直接形成する技術を確立した。さらに,出発原料をナノ/マイクロゲルに閉じ込め,大気圧プラズマを照射し,物質表面に結晶層を作製する技術も見出した。 (4)機能性単結晶複合表面を利用したデバイス提案とその特性評価 上記(1)~(3)の課題で得られた成果を利用し,二次電池電極,燃料電池触媒,透明導電膜,環境浄化材料などの新規結晶デバイスを作製し,新しいデバイスとしての可能性を確認した。
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