研究概要 |
本研究の最終目標は,さまざまな物質表面にナノ・マイクロ単結晶を三次元成長・配列した複合表面を創成する技術を確立することである。最終年度となる平成23年度は,前年度までの結果を考慮し,単結晶複合表面創成を深耕し,その技術の確立に努めた。特に,個々の課題の有機的な連携をめざした。 (1)ナノ単結晶の規則的配列手法の探索(継続):フラックスコーティング(FC)法により金属・ガラス・ポリマーなどの表面にナノ・マイクロ単結晶を直接成長することに注力した。特に,金属やガラス基板表面にアモルファス系前駆体層を形成した後,FC法により目的結晶薄膜に変換する技術を見い出した。その結果,きわめて高品質な結晶薄膜を均一に形成でき,各種エネルギーデバイスへの応用を可能にした。 (2)フラックス概念を導入した噴霧熱分解法による三次元構造体の作製(継続):前年度実現した多層微粒子テンプレートや複数粒径微粒子テンプレートなどを用い,高機能化した空間デザイン単結晶層の大面積化をめざした。具体的には,リチウムイオン二次電池の正極材料として用いられるLiCoO_2結晶層を電池評価できるサイズで作製した。また,2段階の噴霧熱分解プロセスを経ることで,2種類(W系とTi系)の結晶から成る結晶薄膜をデザインできた。 (3)光・プラズマ制限照射によるナノ単結晶の位置選択性成長(課題):本年度は特にプラズマアシストFC法による物質表面でのナノ単結晶層の直接成長に注力した。具体的には,ポリマー表面でのアパタイト結晶層や金属表面でのLiCoO_2結晶層の作製を実現した。また,エネルギー照射領域を限定し,結晶成長領域をデザインできた。 (4)機能性単結晶複合表面を利用したデバイス提案とその特性評価:本課題の成果を集約し,最先端太陽電池・燃料電池・蓄電池やバイオマテリアルとして利用できる結晶薄膜(結晶-基板界面)を創出でき,新しいデバイス展開への可能性を見い出した。
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