研究課題
本申請課題は、バイオセンシング・微小反応場・マイクロフルイディクスで必要とされる『マイクロリットル以下の微小液滴の自在な操作』を実現するための、液滴吸着性の外場制御可能な超撥水表面の開発を目的としている。本年度は、撥水性を保ちつつ液滴吸着性をもつ、高分子ピラー-金属ドームマイクロ構造化表面の作製法を確立し、その構造の違いによる液滴吸着性の制御を行った。また、液滴吸着性の異なる超撥水表面上における液滴損失の無い微小液滴移動を例証した。具体的な結果を以下に記す。水滴の自己組織化を鋳型として得られる直径が数マイクロメートルの空孔を無数にもつハニカム状多孔質フィルムの無電解めっき触媒液に対する孔内の濡れ性を、液温により制御できた。50度の触媒液を用いた場合には、無電解めっき、表面剥離処理後に、基板を反転しても水滴が落下することのない高吸着性超撥水構造化表面が得られた。この吸着性は触媒液の温度を精密に制御することで、吸着しない状態から吸着する状態まで、高精度に創り分けることができた。液滴吸着可能な超撥水表面を用いて、吸着性の低い超撥水表面から吸着性のやや低い超撥水表面へ、5マイクロリットルの液滴を、接触させるだけという省エネルギープロセスで容易に移動することができた。本手法を用いると、超撥水表面へ液滴を移動することができるため、再度の液滴操作が容易である。翌年度以降には、液滴吸着力を電気や光などの外部エネルギーにより変化させ、微小液滴の外場応答による吸着制御および液滴操作への展開を図る。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) 備考 (1件)
Communications in Computer and Information Science, Biomedical Engineering Systems and Technologies 52
ページ: 136-142
Chemistry of Materials 21
ページ: 1799-1801
http://research.wpi-aimr.tohoku.ac.jp/jpn/research/539