研究課題
高度経済成長期に建造された高速道路・橋梁・トンネルなどの大型構造物は使用年数の増大に伴い経年劣化が蓄積されている。このような背景の下、国民が安心して暮らすことができるように社会の安全と安心を保障するためには、経年劣化した構造部材を非破壊で高精度に評価する必要がある。本研究の目的は、大型構造物の閉じたき裂を高分解能で映像化するため、"低周波加振とパルス超音波フェーズドアレイを組み合わせた低周波加振型非線形超音波映像法"を創出することである。本年度は、[1]低周波加振器の改良と特性評価、[2]高速波形収録・映像化装置の試作、[3]閉じたき裂試験片の作製の3項目を遂行した。[1]では、21年度に試作した低周波加振器(超磁歪型アクチュエータ)と治具の改良を行い、レーザ干渉計のスキャンを用いた変位振幅計測によりその特性を評価した。[2]では、指定の時間間隔で、アレイセンサで受信した波形を高速収録し、映像化するシステムの仕様を検討した。次に、この検討結果に基づいて、任意波形発生装置、信号増幅器、超音波フェーズドアレイ装置を組み合わせて、任意波形発生装置の位相制御を利用した同期駆動により、試作を行った。ここでは、低周波加振装置とフェーズドアレイ装置の同期取得を実現した。[3]では、油圧制御式疲労試験機を用いてアルミニウム合金A7075やオーステナイト系ステンレス鋼SUS316のCT(compact tension)試験片に適切な疲労条件で閉じたき裂を導入する試験片作製をH21年度から引き続き行った。
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