研究概要 |
本年度は、報告者が考案した「レーザー誘起微粒子化を利用した元素分離回収法」が、既存技術では困難な白金族元素群の相互分離に適用できるかどうか探るため、希塩酸/エタノール混合溶液(v/v=1/1)に溶解した白金族イオン(Pt^<4+>,Pd^<2+>,Rh^<3+>,Ru^<3+>)を対象にして以下の点を調べた。 1.微粒子化効率の照射レーザー波長依存性(バッチシステムでの実験) 2.微粒子化効率の照射レーザー強度依存性(バッチシステムでの実験) 3.フロースルーシステムでの微粒子化効率 その結果、それぞれの項目について以下の事がわかった。 1.低強度の紫外レーザー光(240-300nm)をPt^<4+>,Pd^<2+>,Rh^<3+>溶液に照射した場合、照射波長が短くなるにつれて単調に微粒子化効率が増大するだけで、これらのイオン間の波長依存性は類似していた。一方、Ru^<3+>溶液ではどの波長のレーザー光を照射しても微粒子の生成は確認できなかった。 2.紫外レーザー光(266nm)を照射した時には、全ての白金族金属微粒子は多光子過程により生成する。また、Pt^<4+>=Pd^<2+><Rh^<3+><Ru^<3+>の順に、より高次の多光子反応を経て微粒子化が進行する。 3.フロースルーシステムでPd^<2+>溶液のレーザー誘起微粒子化を行うと、フロー速度を上げるにつれ、微粒子化効率が下がってしまう。 さらに、1.の結果に基づき、Pt^<4+>,Pd^<2+>,Rh^<3+>,Ru^<3+>混合溶液に紫外レーザー光(266nm)を照射して、Ru3+だけを会離する実験を試みた。しかし、共存効果によりRh^<3+>も他の白金族イオンと共に微粒子化してしまい、分離できなかった。一方、2.の結果に基づきレーザー強度を調節しながら白金族イオン混合溶液でのレーザー微粒子化を行った結果、ある特定の強度領域においてRh^<3+>以外の白金族イオンを全て微粒子化し、Rh^<3+>だけを分離することに成功した。
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