研究概要 |
石炭資源の有効利用の観点から注目されるIGCCシステムにおいて,発電用ガスタービンの保護のために必要な集塵方法として,一般的にフィルタを用いたろ過集塵方式が用いられている.しかしフィルタのミクロ構造と粒子付着挙動の相関や,粒子性状と圧力損失の関係は,実験では測定が困難であるため未だ明確にされていない.そこで本研究では数値解析手法を用いて,フィルタ実構造の数値化と特性評価,実測値との比較,粒子付着堆積挙動解析と特性評価,模擬粒子付着フィルタの流動実験と解析結果との比較を行い,耐久性・運転コストに優れる最適フィルタ構造の提案を図る.H21年度はフィルタ実構造の数値構造化を行い,実際の金属不織布フィルタの細孔径と透過率が一致することを確認した.また繊維径と空隙率を変化させ,種々の細孔径分布をもつ構造が再現可能となった.さらに粒子付着を考慮した複雑多孔質体内の粒子流動計算モデルを開発し,種々のフィルタ構造を対象に粒子堆積による非定常の空隙構造変化および圧力損失変化を計算することが可能となった.本計算により,細孔径分布の差異によりフィルタ厚み方向への付着分布の形成が異なることを確認し,集塵効率のみならず付着粒子の払い落とし(逆洗処理)の点でも最適構造が存在することがわかった.以上の計算により付着粒子の払い落としと圧力損失増加を指標として構造特性をマップとして整理し,最適構造に関する指針を得ることができた.実測に関しては,数値計算の妥当性検証のために行う集塵模擬実験(次年度)の準備を行い,実フィルタの構造特性(細孔径,透過率,空隙率,繊維分布)のデータベースの作成を行った.
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