研究概要 |
siRNAやshRNAなどの小さな2本鎖RNAにより配列依存的に遺伝子発現抑制が起こる現象、すなわちRNAiは、近年、遺伝子機能研究や創薬研究に幅広く利用されている。申請者らは最近,培養プレート上の動物細胞に対して光照射領域特異的にRNAiを誘導する方法を開発した。この方法は細胞膜透過性ペプチド(CPP)とRNA結合蛋白質(RBP)の融合タンパク質である独自のRNAキャリアを用いる方法であり、CLIP-RNAi(CPP-linked RBP-mediated RNA internalization and photo-induced RNAi)法と呼んでいる。本応募課題では,CLIP-RNAi法を最適化すると共に応用展開することを目的とし、H23年度は以下について取り組んだ。 1)cLIP-RNAi法における時間軸の検討:CLIP-RNAi法をより効果的に利用するために、RNA/キャリア複合体で細胞を処理する時間、および、その後に光照射を行うまでの時間を検討した。また、これらの各段階におけるRNAおよびキャリアの細胞内外での安定性を調べた。結果として、各段階において、効果的にRNAiを起こすうえで最適な時間範囲を決めることができた。 2)In vivoでのRNAi効果の検証:治療薬としての応用展開を目指し,生体内においてCLIP-RNAi法による局所的なRNAi効果が見られるかどうかを調べた。ここでは,ヌードマウスの背中皮下にLuciferase発現細胞を植え付け,その細胞に対してCLIP-RNAiを行った。まだ再現性の確認が必要ではあるが、この実験において照射部位のみでRNAi効果が見られるという結果を得た。
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