研究概要 |
本研究の目的は、スーパープレッシャー気球(SP気球)とゼロプレッシャー気球(ZP気球)のタンデム気球により長時間飛翔気球を実現するため、 ・実験室内実験、および、地上試験による放球方法の開発、 ・気球実験による、原理実評とつりさげ飛翔時の特件評価、 を行なうことである. 長時間(数カ月程度)飛翔できる気球が存在すれば、地球周回衛星で行なわれている科学実験の一部をこれで実現することができ、圧倒的な低コスト化が可能である.これは、SP気球とZP気球を組み合わせたタンデム気球によって理論的には実現できることが指摘されていたが、十分な大きさと耐圧を示すSP気球がなかったために実証されてこなかった。近年、SP気球の技術は飛躍的な進歩があり、原理的には実現可能な状況となっている。本研究では、特に、気球を連結して放球、飛翔させるために必要な技術開発を行い、それを踏まえて実際に飛翔させる実験を行い、飛翔時の特性を評価する。 本年度は、体積10m^3のスパープレッシャー気球とゴム気球によるタンデム気球の飛翔試験を5月に大樹航空宇宙実験場所において実施し、日昇をまたいだ飛翔をさせ太陽光の有無による気球ガス温度の変化を計測することに成功し、スーパープレッシャー気球への要求耐圧が定量化できるようになった。しかし、0.6cm^2程度の穴からのガス漏れのため、飛翔時の耐圧性能の確認は実施できなかった.また、来年度の気球実験として、体積3,000m^3のスーパープレッシャー気球と体積15,000m^3のゼロプレッシャー気球からなるタンデム気球システムの飛翔性能試験が採択され、それに向け、必要な資材の調達とゴンドラの製作を行った。
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