研究概要 |
本研究では、海底を広域かつ高精度に画像マッピングするための手段として、相対測位が可能な複数の自律型水中ロボット(Autonomous Underwater Vehicle,AUV)が交互に着底してランドマークとなることで広範囲・高精度なリアルタイム測位を行う「Leapfrog(馬とび)Positioning」を提案する。そして、移動ランドマークとなる小型のAUV(LAUV)を開発し、申請者らの所有するAUV「Tri-Dog 1」と実際に連携させることで、提案手法の有効性を示す。 本年度の実施内容は次の通りである。 1、LAUVの設計・開発 移動ランドマークとなるAUVの詳細設計および製作を実施した。本AUVは海底付近を移動する必要があることからホバリング型とし、高精度な測位ができるようにドップラ式対地速度計、姿勢センサ、方位センサ、深度計を搭載した。全体設計においては安定性とロバスト性を重視し、実海域での運用に耐えられるようにしたほか、メンテナンス性に配慮し、電池交換を短時間でできるようなデザインとした。平成22年度後半から製作を始め、地震の影響で一月ほど遅れたものの、設計通りのAUVを製作することができた。 2、音響相対測位アルゴリズムの実証試験 平成21年度に開発した音響による通信・測位装置(Acoustic Localization and Communication device,通称ALOC)を東京大学の三崎臨海実験所周辺の実海域に展開し、性能について検証した。ALOC2台を海中に沈め、距離を代えて性能を調べると共に、AUVを用いた実海域運用に向けて調整した。また、本実験の結果をもとにLeapfrog Positioningアルゴリズムについてシミュレーションを行った。 3、1台のAUVと固定ステーションによる実海域試験 研究代表者らの所有するAUV「トライドッグ1号」を用いた実海域試験により、実海域における提案手法の有効性を検証すると共に、実際に鹿児島湾の海底環境を画像マッピングし、提案システムの総合的な性能を検証した。実験は海洋研究開発機構の観測船「淡青丸」のKT10-20次研究航海(2010年9月、鹿児島湾主席研究員:巻俊宏)にて実施した。
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