高速点火核融合方式はターゲット燃料を爆縮し、最大圧縮に至った瞬間、外部から超高強度レーザーを注入して加熱を制御する方法である。効果的な追加熱・点火・燃焼を達成するためには、追加熱タイミングの調整と初期の加熱過程の詳細な観測が不可欠である。X線フレーミングカメラはX線を光電変換する金のストリップラインに電圧パルスを伝搬させることでパルスが印加された部分にその瞬間のX線像を記録することができるカメラである。我々はこの仕組みを利用することで爆縮コアのX線画像と同時に追加熱レーザー入射によって発生した高エネルギーX線を記録し、そのデータから追加熱レーザーの入射タイミングを算出することに成功した。本研究ではさらに正確な計測を目指し、高速ゲートX線フレーミングカメラの開発を行っている。平成21年度は従来の約半分の厚さ(240μm)の薄型マルチチャンネルプレートを作製し、結像機構部に取り付けを行った。より薄いマルチチャンネルプレートに、より狭いパルス幅のパルス電圧を印加することでフレーミングカメラの時間分解能を現状の100psから30psへ大幅に性能向上させることができると考えられる。改造した結像機構部について真空排気テスト、電圧印加テスト等の動作テストを行い、設計通りに動作することを確認した。現在計測器本体への取り付けのための部品設計を行っている。
|