研究課題
高速点火核融合方式はターゲット燃料を爆縮し、最大圧縮に至った瞬間、外部から超高強度レーザーを注入して加熱を制御する方法である。効果的な追加熱・点火・燃焼の達成には、追加熱タイミングの調整と初期の加熱過程の詳細な観測が不可欠である。X線フレーミングカメラはX線を光電変換する金のストリップラインに電圧パルスを伝搬させることでパルスが印加された部分にその瞬間のX線像を記録することができるカメラである。我々はこの仕組みを利用することで爆縮コアのX線画像と同時に追加熱レーザー入射によって発生した高エネルギーX線を記録し、そのデータから追加熱レーザーの入射タイミングを算出することに成功した。そこで本研究ではより正確な測定を目指し、高速ゲートX線フレーミングカメラの開発を行っている。従来の約半分の厚さ(240μm)の薄型マルチチャンネルプレートに、より狭いパルス幅のパルス電圧を印加することでフレーミングカメラの時間分解能を現状の100psから30psへ大幅に性能向上させることができると考えている。高速点火実験時に生成された高速電子が発生する高エネルギーのX線がマルチチャンネルプレートに大きなノイズとして熱的X線像にオーバーラップするのを防ぐため、全反射ミラーにより熱的X線と高エネルギーX線をエネルギー弁別し、それぞれ計測を行うこととした。全反射ミラーは表面をプラチナで蒸着したミラーで、入射角を1度にすることで3.2keVのX線で約48%の反射率、30keVのX線ではその約1万分の1の反射率となる。平成22年度は、この全反射ミラー機構の製作および画像測定位置調整機構の製作を行い、昨年度製作した結像機構部と合わせて計測器として完成させた。また激光12号による高速点火実験において、完成した計測器を実際に使用して爆縮コアプラズマおよび高エネルギーX線の計測を行うことに成功した。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Nuclear Inst.and Methods in Physics Research, A.
巻: (掲載確定)