高速点火核融合方式はターゲット燃料を爆縮し、最大圧縮に至った瞬間、外部から超高強度レーザーを注入して加熱を制御する方法である。効果的な追加熱・点火・燃焼を達成するためには、追加熱タイミングの調整と初期の加熱過程の詳細な観測が不可欠である。X線フレーミングカメラはX線を光電変換する金のストリップラインに電圧パルスを伝搬させることでパルスが印加された部分にその瞬間のX線像を記録することができるカメラである。我々はこの仕組みを利用することで爆縮コアのX線画像と同時に追加熱レーザー入射によって発生した高エネルギーX線を記録し、そのデータから追加熱レーザーの入射タイミングを算出することに成功した。本研究ではさらに正確な計測を目指し、高速ゲートX線フレーミングカメラの開発を行っている。平成21年度にX線受光部、平成22年度に結像機構部を製作し、計測器として完成させた。平成23年度は前年の激光12号を用いた実験結果を踏まえ、計測器にアライメント精度の向上や効率的な画像取得のための改良を施した。またKrFレーザーを用いて計測器の感度分布や入射フォトン数とCCD出力の関係などの基本パラメータを計測した。これらのパラメータを使用することで、取得された画像データをより定量的に解析できるようになった。上記の成果について複数の国際会議や学会で報告を行った。
|