低融点金属である液体ガリウムを液体ナトリウムの擬似流体とする小型の流動ループを製作した。装置は、循環ポンプ、試験部、アッパータンク、流量計測部、熱交換部、ドレインタンク、によって構成されている。目視によって液体金属流れの健全性を監視するため、管材の大部分は、透明塩ビおよび塩ビで製作されている。主配管の内径は21mmである。ループは約L1.5m×H0.5mの鉛直ループであり、内容積は約4リットルである。地震等の緊急時に全てのガリウムをドレインタンクに回収するため、ループは若干勾配がつけてある。使用する循環ポンプはキャンドポンプであり、ケーシングやインペラーを含め、全てステンレス材(SUS316L)で製作されている。ループは、ポンプを除いて、断熱パネルで製作された簡易ドラフトによって囲まれており、内部には保温用のセラミックスヒータと室内温度の均一にするためファンが設置されている。これによりドラフト内の温度は常に35℃~40℃に維持される。先ず、流量特性を評価し、これにより当初の予定通り55L/min.の流量を達成した。最大Re数は約1.0×10^6である。次に、試験部となる塩ビ製の正方形ダクト内(断面3cm×3cm)に発熱円柱(直径10mm×高さ30mm)を設置して液体ガリウムを流動させ、カルマン渦発生に伴う周囲流体の温度変動の計測を開始した。外部磁場として、ネオジウム磁石により磁気回路を形成したものを流路上下に設置して流れに垂直な準一様磁場(磁束密度0.4~0.6T)を印加している。現在のところ、流動試験における取扱い技術の課題として、ガリウムの酸化と濡れ性の問題を確認し、装置の改修を実施している。一方、磁場下の乱流計算に関し、作成した正方形管内流れに対するLESコードをダイナミック混合モデルへ改良し、更に渦流出に対する出口部境界条件を高精度化した。
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