平成22年度に引き続き、液体ガリウムをナトリウムの擬似流体とする小型流動ループの改修に取り組んだ。この理由として、液体時のガリウムの酸化問題が、研究当初予測された以上のものであることが最大の理由として挙げられる。結果としてガリウムの酸化防止に多くの時間を費やしたが、それ以上に国内初となるGa液体金属流動試験装置の製作とGa取り扱い技術に関する多くの知見を得ることができた。また、別途、日米科学技術協力事業に1か月参加して米国UCLAでの高温PbLi液体金属流動ループを製作し、液体金属流動実験と酸化防止に関する多くの経験を得た。この経験を踏まえ、H23年度秋以降に改めて装置改良に取り組んだ。具体的には、H22年度において装置の全配管系統をArガス雰囲気に達成できたが、循環前に、液体ガリウムの酸素の吸い込みを極力抑えるため、先ずダンプタンク内を真空ポンプ(別途調達)により真空引きした後、Arガスを十分に吸い込ませる作業を行った。これにより酸化を大幅に低減することができた。しかしながら長時間の循環運転に対して酸化物の生成を抑えることができず、長時間の循環実験が必要となる本実験で精度の高いデータの取得が困難な状況にある。科研費成果報告書では、短時間に得られた結果について報告する。並行して酸化の原因について調査し、塩ビなどの樹脂系の配管部材を利用した際、酸素が配管を透過して液体金属と反応し、酸化に結びつく可能性がある事を見つけるに至った。現在、配管系の殆どの部分をサニタリー用のステンレス製のパイプで製作している最中であり、引き続き実験データの取得に努め、当初の予定成果について本年度中に纏める予定である。 一方、磁場下の乱流計算に関し、平成22年度に作成した正方形管内に存在する角柱周りの流れ解析を実施し、磁場下における層流計算の収束まで確認した。現在、入口条件として乱流ドライブ区間を設置し、LESによる乱流計算を実施している状況である。
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