研究課題
架橋体を含むパーフルオロ系高分子に対して、各種イオンビームによる真空中直接エッチングを行い、ナノスケールで制御された微細加工体の作製条件、ならびに、新規に購入した超低エネルギーEB装置により、試料表層にイオン交換基を付与するために40kV~80kVの電子ビームを試料に照射し、グラフト反応条件の検討を行った。また、試料表層のイオン交換基に金属イオンで塩化処理し、量子ビームを使って金属イオンの直接固相還元により金属粒子を析出させることを検討した。イオンビームによるナノスケール加工に関しては、集束イオンビーム(FIB)を用いて、直径90nmの規則正しく配列した微細加工体の作製に成功した。また、試料表層へのイオン交換基のグラフトに関しては、超低エネルギーEB照射法によるグラフトの他、イオンビーム誘起グラフト法についても検討した。その結果、40kVの超低エネルギーEB照射により表層5μm程度の領域にイオン交換基の付与ができることをモンテカルロ計算ならびにイオン交換基付与後の分光分析より明らかにした。また、ナノ加工時のイオンビーム照射後の後反応により、イオン交換基の付与が可能であることをSEM-EDX観察より明らかにした。固相中の金属イオンの還元に関しては、試薬に銀イオンを選択し、各種量子ビームを用いて還元条件の検討を進めた。その結果、ArやN_2プラズマ照射でも固相中の銀イオンを銀粒子に還元できることをSEM-EDXによる解析から明らかにした。
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放射線と産業 124
ページ: 9-14