研究概要 |
本研究では、分裂酵母の減数分裂において、減数分裂組み換えとその後の減数第一分裂とを連携させる機構について解析をおこなう。減数分裂の開始時には染色体の核内配置が体細胞分裂とは大きく異なっているため、そのような染色体配置が組換えに有利であっても減数第一分裂にとっては不利になる可能性があった。この不利な状況は細胞内でどのように克服されているのであろうか。これまでに我々は、微小管構造がこのふたつのイベントを連携させていることを明らかにした。具体的には、微小管と染色体の相互作用の分子メカニズムとその生物学的意義について、細胞生物学的、遺伝学的および生化学的アプローチから総合的に研究を進める。本年度は、減数分裂特異的な微小管制御に関わる微小管結合タンパク質を独自の3色ライブイメージングシステムを適用して同定した。その重要因子のなかには、Alp7/TACC-Alp14/TOG,Dis1/TOG、Dam1複合体が含まれた。これらの変異体では、染色体の動原体部位が微小管によって捕らえられず、最終的に染色体の不均等分配となってしまう。したがって、減数第一分裂の早い段階においてこの特殊な微小管構造が染色体を捕まえることが減数分裂過程においては必須であることが分かった。さらに、動原体のNdc80複合体も重要な役割を果たすことが分かった。また、生化学的アプローチをおこなうため、減数分裂過程を同調的に誘導して減数第一分裂に停止させる実験系を構築するための条件検討をおこなっている。減数分裂におけるこの2種類の染色体のイベントは、これまで連携されているかどうか調べられていなかったため、本研究はきわめて意義のある知見を得ているといえる。
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