本研究では、分裂酵母の減数分裂において、減数分裂組み換えとその後の減数第一分裂とを連携させる機構について解析をおこなう。減数分裂の開始時には染色体の核内配置が体細胞分裂とは大きく異なっているため、そのような染色体配置が組換えに有利であっても減数第一分裂にとっては不利になる可能性があった。この不利な状況は細胞内でどのように克服されているのであろうか。これまでに我々は、微小管構造がこのふたつのイベントを連携させていることを明らかにした。具体的には、微小管と染色体の相互作用の分子メカニズムとその生物学的意義について、細胞生物学的、遺伝学的および生化学的アプローチから総合的に研究を進める。 当該年度においては、(1)微小管結合タンパク質およびセントロメア因子の生化学的・細胞生物学的解析、(2)セントロメア因子の同調的精製による組み換え終了後のセントロメア再構成の解析、(3)減数分裂期にのみ、放射状の微小管が形成されるメカニズムの解明を目指した。(1)においては、Alp7-14複合体がリン酸化されていることをつきとめ、それがPoloキナーゼによるものであることが分かった。(2)については、細胞同調系の構築が難航している。これまでは突然変異体を用いた同調法を目指していたが、薬剤による同調系に切り替え、研究を続けている。(3)減数分裂に見られる微小管が、キネシンモータータンパク質Cut7の活性調節によって形成される可能性について調べている。Cut7のリン酸化が重要な役目を果たしている可能性について検討している。
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