研究課題
受精は生命現象の始まりという極めて重要な現象にも関わらず、分子生物学的な機構については未知の部分が多い。特に膜融合機構に関する研究は世界的に見ても詳細な解明に至っていない。そのようななか、私は世界で始めて精子側の融合因子IZUMO1を発見した。さらに最近、私は融合を阻害するIZUMO1のモノクローナル抗体とBiacoreを用いた解析により、IZUMO1の融合を制御するコア領域(IZUMO1_<PFF>: putative fusion fragment)の同定に成功した。本年度の成果は、108アミノ酸残基のIZUMO1_<PFF>のなかでさらに重要な配列を明らかにするため、IZUMO1_<PFF>のリコンビナントタンパク質を免疫原として10種類のモノクローナル抗体を作製し、膜融合を阻害する抗体を選別した。さらに、これら抗体を用いたエピトープ解析から真の機能領域を8アミノ酸レベルまで浮き彫りにすることに成功した。今後は、この領域のアミノ酸を変異させたIZUMO1を発現するトランスジェニックマウスを作製し、Izumo1ノックアウトバックグランドを用いた雄の妊孕性等のin vitroの解析と体外受精や融合解析によるin vivoの解析により、この領域が真に重要かを明らかにしたい。また、円二色性、超遠心、X線溶液散乱等を用いた物性研究からこの領域の構造上の解析も進んでおり、αヘリックス含量が多く含まれている構造であることが明らかになった。今後は、結晶構造解析等の手法により、この構造がどのように重要なのかを明らかにしていきたい。
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http://133.1.15.131/EGR/indexJ.cfm