研究概要 |
本研究では航空機リモートセンシング観測データから樹冠の表面温度を抽出した結果と,熱環境シミュレーターを用いて樹冠周辺の熱環境を再現した結果を併用することで都市の気温分布図を作成すること,きらに得られた気温分布図を用いて都市緑地のヒートアイランド緩和機能を評価することを計画している。本年度は,実測による樹冠表面温度と周辺気温の関係についての検討,熱環境シミュレーターで樹冠周辺の熱環境を再現するための樹木及び周辺建物の三次元化,土浦市とつくば市の中心市街地を対象にした航空機リモートセンシング観測を実施した。 夜間の樹冠表面温度は周辺の気温と相関を持つことが指摘されており,本研究でもこの特性を利用して都市の気温分布の把握を行うことを目指している。しかし,高層建築物が存在する都市域では,周辺地物から樹冠への長波長放射の影響を除く必要があり,また都市キャノピー内では風速の変動が大きく,その影響も考慮する必要がある。そこで,熱放射カメラにビデオを接続して撮影することで樹冠表面温度の変化を記録し,周辺気温及び風速との関係,周辺地物からの放射の影響を分析した。その結果.一まとまりの樹冠から最高温度を示すピクセルを抽出できれば,風速変動の影響を排除してその値を周辺の気温とみなせることが示された。周辺地物からの放射については,天空率が高い値を示す場所にある樹冠では無視できるものの,天空率が低い値を示す堤所では無視できないほどの影響を及ぼすことが示された。 樹木及び建物の三次元化については,様々な都市形態を想定して実際の複数の都市市街地を対象にモデル作成及び空間構成の分析を行った。 また,本年度はリモートセンシングデータから画素内緑被率を算出した上で,観測地域内の緑被を抽出し,さちにそこから現地調査を踏まえて樹冠表面温度の分析に用いる樹冠サンプルを抽出した。
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