本研究では、キイロショウジョウバエの匂い物質結合蛋白質(OBP)突然変異体と構造改変OBPを用いて分子・細胞・個体の3つのレベルから多面的に解析を行う。 [OBPの生化学的解析]大腸菌によるOBP合成を試みた。最初にペリプラズム中に分泌させる方法を試みたが、発現はするもののペリプラズム画分にはほとんど分泌されなかった。このため、菌体内に封入体として発現させ、変性・再構成する方法に変更した。変性、再構成の条件を各種検討した結果、in vitro結合試験で活性を持つOBPを得ることに成功した。 [OBP遺伝子突然変異体を用いた行動解析]触角を除去して嗅覚刺激を遮断することにより、味覚による産卵場所選択行動試験の測定精度を大きく向上させることができた。 [OBPの機能に関する神経生理学的解析]細胞外電位記録に必要な装置等を用意したが、当該年度中にセットアップして実際に測定を行うまでには至らなかった。
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