研究課題
土壌呼吸(土壌からのCO_2放出)は大気中のCO_2濃度の10%を占め、その大部分が森林土壌中の生物活動に由来する。代表者は、2002年よりボルネオ島の熱帯多雨林で土壌呼吸の調査を行い、多数のホットスポット現象(土壌呼吸の大量発生)を発見した。ホットスポットは発生する場所・時期ともにランダムに変化したことから、その発生原因の一つに、これまでの土壌呼吸研究では殆ど注目されてこなかった土壌動物(特にシロアリとアリ)の関与が考えられた。そこで本研究は、1、アジア熱帯林における土壌呼吸のホットスポットの重要性、2ホットスポットの発生メカニズム、3、土壌呼吸の生成過程における土壌動物の役割、を解明することを目的とした。本年度は、ホットスポットについて検討されたことのないタイの熱帯季節林(サケラート環境研究センター、タイ)において土壌呼吸のライン調査とコロニー調査を行い、ホットスポットの発生頻度、発生原因について調査を行った。ライン調査ではで土壌呼吸の測定後に土壌を採集してCO_2発生源(根・土壌動物)を分離した。その結果、ホットスポットの発生は、熱帯季節林においても発見されることが明らかとなった。ホットスポットとアリ・シロアリの関連を考察するために、アリとシロアリのコロニー上で土壌呼吸を測定した結果、測定値は非常に高かった。今年度はマレーシアでも同様の手法を用いたコロニー調査を行い、炭素循環における土壌昆虫をアジア広域で評価する。
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Agricultural and Forest Entomology
ページ: DOI:10.1111/j.1461-9563.2011.00530.x
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Apidologie
巻: (In press)