研究課題/領域番号 |
21689004
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
今野 博行 山形大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (50325247)
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キーワード | callipeltin B / 異常アミノ酸 / 固相合成 / ジメチルグルタミン / 立体制御合成 / 抗HIV活性 / 細胞毒性 / 環状ペプチド |
研究概要 |
ケモカインレセプターCCR5阻害剤創成を目指して環状デプシペプチドcallipeltin類の全合成と類縁体合成を中心に研究を行った。まず環状オクタデプシペプチ合成法の確立を行うための検討を行った。C末端MeAlaのカルボン酸とThr側鎖アルコール部分での環状化ではThrのN側アミノ酸によって環化効率が異なることがわかった。すなわちGlnの時には70%、pyroGlnの時には全く進行しないという結果であった。そこで直鎖内にデプシ部分を組み込み、ArgとThrとでアミド化による環化を行った所、大変良好な結果を与えた。しかしながら、MeAlaが分子内に存在する場合においてはジケトピペラジン形成が優先的に起こり望む環状ペプチドを与えるには困難であった。これより、MeAlaとTyrでの環化が最も効率的であることを見出した。このルートで15種類のcallipeltinアナログの合成に成功した。次に得られたペプチドを用いてHela細胞に対する細胞毒性試験をおこなった所、そのほとんどで毒性を示さなかった。この結果は抗ウイルス剤の創製には有利な情報であり、次年度いよいよCCR5に対する結合アッセイへと展開する。 一方で、callipeltin類側鎖部分の立体制御合成も検討した。アルギニン系異常アミノ酸類ではガーナーアルデヒドを原料に用いてジアステレオ選択的にジヒドロキシル化、さらにcross-metathesis反応によってグアニジド基、カルボン酸類の導入を行った。さらに脂肪酸部分についてはリパーゼによる不斉非対称化によってビルディングブロックの創製を行った。今後、各部位の調製と全合成に向けて検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
環状ペプチド合成法の確立に予想以上の時間を費やしたことが挙げられる。そのため本年度行う予定であったCHO/CCR5細胞を用いたアッセイがほとんど手つかずであった。しかしながら着実に成果は出ており、改革の変更はない。
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今後の研究の推進方策 |
合成研究における問題点はほぼ克服できたので、CHO/CCR5を用いたアッセイ系の確立を行う。最終年度であるので、できる限りカゴウブツライブラリーの合成とアッセイを行い、高活性な化合部の取得に努める。上記にも記載の通り進捗状況は遅れ気味であるが、着実に進展していることから計画変更などの予定はなく、スピードアップを計りながら本研究を遂行する。
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