研究課題
本研究課題は、脂肪組織由来の摂食調節作用物質による自律神経調節メカニズムについて、脳内分子と作用経路の解明に着目し、抗メタボリックシンドローム作用を持つ新規治療戦略への貢献を目指すものである。本年度、摂食調節性の神経ペプチドであるPACAPとNesfatin-1の自律神経作用があるか否かについて麻酔下ラットを用いて検討した。PACAPとNesfatin-1の脳室内投与はいずれも、交感神経(腎臓枝、副腎枝、肝臓枝、褐色脂肪枝)を促進させ、熱産生と血圧を増大させる一方で、副交感神経(胃枝、肝臓枝)を抑制させた。さらに、この自律神経作用を解析する目的で、脳・視床下部のメラノコルチンシステムの関与があるか否かについて検討した結果、メラノコルチン受容体阻害剤を用いて自律神経計測すると、阻害剤投与ラットではPACAPとNesfatin-1による交感神経作用が現弱されることがわかった。これらの結果からPACAPとNesfatin-1による自律神経作用には視床下部のメラノコルチン系が関与し、摂食、血圧、血糖などのホメオスタシスに関与することが示された。また、レプチンによる自律神経作用における視床下部内AMPキナーゼの役割を検討した。具体的には、AMPキナーゼのsiRNA脳室内投与によるAMPキナーゼα2ノックダウンラットを用いて交感神経活動を計測している。さらにその下流に存在するTSC(tuberous sclerosis)とCPT1(carnitine palmitoyl transferase-1)の各ノックダウンラットを作製して、自律神経活動の測定を行う予定である。また現在、無線計測装置を使用して覚醒下ラットの交感神経活動を数日間計測してレプチンやアディポネクチンの脳内投与効果を検討しているが、電極及び血圧カテーテルなどの諸計測条件の検討が必要で、今後更なる検討が必要になる。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)
Journal of Neurochemistry
巻: (in press)(印刷中)
Amino Acids
Neuroreport
巻: 22 ページ: 309-312
Neuroscience Research
巻: 70 ページ: 55-61
Current Pharmaceutical Design
巻: 17/10 ページ: 985-989
Stress
巻: 4 ページ: 368-75
Neuroscience Letters
巻: 503 ページ: 167-170
Bioscience and Microflora
巻: 30 ページ: 99-109